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マナ

写ボ展

11月21日(土)、25日(水)、28日(土)
12月2日(水)、5日(土)、9日(水)、12日(土)

9月に「サボ展」という展示を行った。マナに対して10年間「何かやれ〜何かやれ〜」と言い続けてやっと形になった二人展だった。それでも実は、展示されなかった写真作品があった。それらの写真を整理しなおして、本人でさえ言葉にならない言葉を探る。

というのも、僕は女性のポートレートの展示と聞いていたのに、マナは風景の写真も展示するとサボ展の搬入日に言い出した。要素を増やすことに反対し続けていたのと、提出された掲示用の文章も全く整っていなかったので混乱し、両方とも頭に入らず却下した。「ロクの家でやる必要はあるのか」とか、「家でやれば良いのでは?」とか言った。意地悪とか嫌いなのではなくて、自己批判を忘れたら身内のパーティになる。そして本人も、1日6人来てくれたら充分だとか言う。だけど、蓋を開けてみれば、1日30人、合計200人以上。こっそりやっていたロクの家にずっと人がいて、僕は慣れないので隠れ続けた。(地方の小さな会場にしては)華々しい展示の様子とは裏腹に、会期終了間際になって机の上に置かれた写真の束を見つけた。マナは、僕が却下した写真をこっそり友達に見せていたのだと言う。改めて見せてもらうと、良いものばかり。10年間背中を押し続けて、ここまで来てももじもじしやがってと言う気持ちと、それを拾えなかった自分。悔しいやら悲しいやら怒りやら、なんだかわからない。とにかく、ロクの家最大の失敗だと思った。美術教育を受けたわけでも、プロでもなく、形が出来たそばから捨てたりしながら、ひたすら何かを作り続ける彼女。僕は、やっと動く気になった友達の声にならない声を消した。あの時、消えた声がなんだったのか。

もう一度もらった写真を時間をかけて選び、画素が荒かろうができうる限りの拡大をして壁に掛けることにした。本人が思っていた形とは随分違うかもしれないけれど、自分の声の一部をちょっと大音量で聞いてみろと。ダイレクトに見た人の反応を受け止めてみろと。声になって帰ってくるのを恐れずに、どうせ失敗するなら前のめりに。振り向くな、一歩前へ。

ロクの家 宮内博史

<協力>
アクセス出版様